第25話 風に吹かれてみたりして

  • 2017.01.30
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ひどい暑さの中を、自転車に乗って湘南まで走っていたりしたのは、僅か半年前だ。 でも、あれからほとんど走ることがないまま、気付いたら厳冬期である。 秋の心地よい季節にこそサイクリングを楽しめば良かったものを、なぜか酷暑や極寒になるたび「あっ、走らねば…。」と思ったりする。 この前の休日がまさにそうだった。
だが寒いものは寒い。 あの真夏のビキニのように、この寒さをも凌ぐ動機付けが必要だ。 そこで、どこか陽だまりの場所まで走っていき、コーヒーをドリップしてみよう、と思い立った。 考えてみれば同じT’sコラムライターの蓮池さんも、公園で抹茶を野点していたではないか。 それをコーヒーの人がやらないでどうする!ふんがー!などと変にテンションも高めてみた。 よし、イイ感じだぜ。
しかしこの時点でお昼過ぎ。陽の傾きは早く、思い立つのは遅い。 僕はそそくさと道具をまとめ、サイクルウェアに着替えると、数か月ぶりに自転車を引っ張り出した。 走り方は忘れていないが、忘れ物はなんだか多くて、玄関先で行ったり来たりを繰り返した。

連日冷たい北風が吹いていたのに、その日だけは風も収まり、暖かくて走り易い。 僕は近くの一級河川へ出ると、そこからサイクリングロードを走ることにした。 この先の道沿いにベンチがあることを知っているからだ。 休日だったので、川沿いは散歩などの人出が多かった。 ベンチに空きは無いかなぁと思いきや、着いてみるとすぐに良さそうなベンチが見つかった。 自転車をかたわらに停めると、早速道具を並べてみた。

この一式は、僕が考えた最もミニマムなドリップセット。 サーモスのマグ2本とドリッパーだけで、コーヒーを淹れるのだ。 しかもマグ1本を除いて、道具は全てウェアのポケットに入れてきた。 サイクルウェアは背中にポケットがあり、バッグを持たなくても結構な荷物を携行出来る。 その範囲でまとめた一式なので、今風にいうとサイクリングファーストな感じ?今回はミルも携行したけど、粉を密封袋に入れてくれば省略可能。 それなら完全にポケット搭載で済む。
豆はオーガニックのグァテマラ。 カリカリ挽き始めると、ほのかに芳ばしい香りが漂う。 と同時に、妙に目立ち始める。 行き交う人々の視線が徐々に痛くなってきた。 はす向かいの河原へ下りる斜面に、コンクリートの段があった。 僕はそちらに移動し、あらためてドリップセットを広げ直した。


マグにドリッパーをセットし、熱湯を入れてきたもう1本のマグから、お湯をゆっくり注ぐ。 2本のマグをケトルとサーバーに見立てて使うのがポイント。 お湯も冷めずに持ち運べるので、沸かす道具も不要だ。
淹れたてのコーヒーを一口。っん!!熱っ!ゴマをする訳ではないが、保温性能の高さを侮っていました、すいません。 想定より高温の抽出でちょっと苦めに仕上がったけど、クッキーなんか食べたりしながら、淹れたてのコーヒーを味わう。

陽射しに輝く川面を眺めながらアレコレ考えているうち、あっという間に陽は傾いてしまった。 今日はほとんど走っちゃいないけど、まあいいか。 僕らしい一日だったし。 帰りもゆっくり走ろう。 僕のペースで。


この記事へのコメント

ほな

自転車が塩でさびませんか。

ほな

コーヒーのこだわりの香りがにおいます。

ほな

コーヒーにワインを入れたいね。

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