看板みたいに大きな、鍵
仕事が終わり、ワイパーで雨粒を払いながら車を走らせて、高千穂温泉エリアにあるその日の宿に着いたのはもう日が暮れたあとでした。
仕事が終わり、ワイパーで雨粒を払いながら車を走らせて、高千穂温泉エリアにあるその日の宿に着いたのはもう日が暮れたあとでした。
宿泊先の階段は昭和感漂う緑の絨毯!高まります。
和の極み的部屋は、リラックスできる。
美味しい夕食を楽しんだ後は名物の貸し切り温泉へ。フロントで説明された貸し切り風呂の建物の鍵が、やけに大きい!看板かと思うくらいの木札で、思わず笑ってしまいました。これを提げて温泉に向かって歩くだけで、一日の移動でこわばっていた脳が、すこしほどけていきました。旅の宿には、こういう余白みたいな仕掛けがあるのがいい。
普段は居酒屋。でも、こういう丁寧な夕食もまたいい!
貸し切り風呂へ。手で持っているのが小屋の鍵!
湯に肩まで浸かって、明日の山のことを少しだけ考えて、あとは何も考えないようにした。そう。僕の目的は、山の頂上で朝日を見る朝駆けという登山で目的地は高千穂峰という山。僕はそのために立ち寄ったのです。
天然温泉に雨音。疲れが一気に取れた気がする。
いい夜だった。…ここまでは。
行けないと頭でわかっていても、支度はする
体中から湯気を放出しながら部屋に戻って、明け方前後の山の天気を確認します。
主要な天気予報の他に、海外の僕が信頼しているサイトも確認。数字は、どう見ても朝駆けを許してくれる数字じゃありませんでした…。
標高1500メートル付近、風速16〜19メートル、断続的な雨を連れてくる南風。今回の目的地である高千穂峰の稜線は、御鉢の火口縁がそのまま登山道になっている。案内板にも「強風時は滑落注意」と書かれた、風の日に立つ場所じゃない。
行けないと頭でわかっていても、支度はする
体中から湯気を放出しながら部屋に戻って、明け方前後の山の天気を確認します。
主要な天気予報の他に、海外の僕が信頼しているサイトも確認。数字は、どう見ても朝駆けを許してくれる数字じゃありませんでした…。
標高1500メートル付近、風速16〜19メートル、断続的な雨を連れてくる南風。今回の目的地である高千穂峰の稜線は、御鉢の火口縁がそのまま登山道になっている。案内板にも「強風時は滑落注意」と書かれた、風の日に立つ場所じゃない。
やっぱり…。あらゆる天気予報を確認中。
「無理だな…」頭では、わかっている。わかっているのに、バッグを開いて、登山装備を一式、床に並べはじめている自分がいます。
ヘッドランプ、レインウェア、行動食、地図。ひとつずつ床に置いて、明日の自分の動きを頭のなかでなぞる。この時間が、僕はけっこう好き。実際に登るかどうかとは別のところで、装備を並べるという行為そのものがワクワク感をくれ、もう山の入り口になっている。たとえ使わなくても、並べておく。そういう夜があっていい…はず。
ヘッドランプ、レインウェア、行動食、地図。ひとつずつ床に置いて、明日の自分の動きを頭のなかでなぞる。この時間が、僕はけっこう好き。実際に登るかどうかとは別のところで、装備を並べるという行為そのものがワクワク感をくれ、もう山の入り口になっている。たとえ使わなくても、並べておく。そういう夜があっていい…はず。
今回の装備。何があってもいいように万全に準備した…のに…。
夏でも日が昇る前の山頂は寒い!ボトルには熱々のお湯を。
深夜、答えは変わらなかった
深夜1:30にふと目が覚めました。アラームより先に起きるのは、山に行く朝のいつものことだ。布団のなかで手を伸ばして、もう一度、天気を確認します。…残念ながら数字は、変わっていませんでした。
むしろ稜線付近は、風が強まるほうへ振れている。「今日じゃない」。そう声に出して、判断を下した。決めてしまうと、ふっと体の力が抜ける。部屋の窓には、大粒の雨が叩きつけられている。その雨粒を眺めていたら、そのまま眠気に変わって、気づいたら二度寝をしていました。
あきらめたけど、足が向く
次に目を開けたら6:00頃で、もう外は明るくなっていました。目覚ましにもう一度お風呂に入る。朝の湯に浸かりながら、やっぱり山の方角が気になっている自分に気づく。見えるわけでもないのに、そっちの空だけどうしても確かめたくなります。
深夜1:30にふと目が覚めました。アラームより先に起きるのは、山に行く朝のいつものことだ。布団のなかで手を伸ばして、もう一度、天気を確認します。…残念ながら数字は、変わっていませんでした。
むしろ稜線付近は、風が強まるほうへ振れている。「今日じゃない」。そう声に出して、判断を下した。決めてしまうと、ふっと体の力が抜ける。部屋の窓には、大粒の雨が叩きつけられている。その雨粒を眺めていたら、そのまま眠気に変わって、気づいたら二度寝をしていました。
あきらめたけど、足が向く
次に目を開けたら6:00頃で、もう外は明るくなっていました。目覚ましにもう一度お風呂に入る。朝の湯に浸かりながら、やっぱり山の方角が気になっている自分に気づく。見えるわけでもないのに、そっちの空だけどうしても確かめたくなります。
あきらめからの、朝の貸し切り湯。
そのままダラダラしようとしたけど、僕はチェックアウトをして車のエンジンをかけていました。登るためじゃない。ただ、登山口へ行ってみたかったのです。
土砂降りの駐車場で、コーヒーを淹れる
コンビニで買ったパンをかじりながら車を走らせ高千穂河原に着くと、登山口は土砂降りです。フロントガラスを叩く雨。山頂の方は分厚い雲が稜線を飲み込んでいます。スマホには雷注意報の文字と、頂上付近の強風。ここまで来て、本当にようやく、あきらめがつきました。
土砂降りの駐車場で、コーヒーを淹れる
コンビニで買ったパンをかじりながら車を走らせ高千穂河原に着くと、登山口は土砂降りです。フロントガラスを叩く雨。山頂の方は分厚い雲が稜線を飲み込んでいます。スマホには雷注意報の文字と、頂上付近の強風。ここまで来て、本当にようやく、あきらめがつきました。
運転していてもため息。この天気は気分が下がります。
助手席に放り投げておいたボトルを手に取って蓋を開けて湯を注ぎ、インスタントのベトナムコーヒーを淹れます。雨の車内に、甘くてミルキーなコーヒーの香りがふわりと広がりました。一口飲んでみると、深夜に準備したはずの湯が、まだちゃんと熱い!山頂に連れていくはずだった一杯を、ふもとの駐車場で飲んでいる。あきらめたのに、なんだか後ろ髪を引かれます…。
前が見えないフロントガラスとボトル。山で使いたかった…。
後ろ髪引かれながらベトナムコーヒーを。
登らない。でも、すこしだけ歩く
山頂の天気は、当分変わりそうにない。でも、ふもとの雨は、傘をさせば歩けるくらいでした。だったら、今日のこれは、次に登るための下見にしてしまえばいいのだ!
まずは車から高千穂峰の登山口を確認する。ルートのとっかかり、足場、エスケープのとり方。そういうものを目で追っていると、案の定すこし歩きたくなってきた。これはもう、僕の性分みたいなものです。
傘をさして、森のなかへ少しだけ入っていく。雨に濡れた木々の匂いが濃い。けれど足元はぬかるみ、空はますます暗い。無理はしない。今日の僕は、改めてそれを学んだはずだ。ほどよいところで、引き返します。朝駆けは真っ暗な状態で登山を開始します。おかげでかなりイメージができました。
山頂の天気は、当分変わりそうにない。でも、ふもとの雨は、傘をさせば歩けるくらいでした。だったら、今日のこれは、次に登るための下見にしてしまえばいいのだ!
まずは車から高千穂峰の登山口を確認する。ルートのとっかかり、足場、エスケープのとり方。そういうものを目で追っていると、案の定すこし歩きたくなってきた。これはもう、僕の性分みたいなものです。
傘をさして、森のなかへ少しだけ入っていく。雨に濡れた木々の匂いが濃い。けれど足元はぬかるみ、空はますます暗い。無理はしない。今日の僕は、改めてそれを学んだはずだ。ほどよいところで、引き返します。朝駆けは真っ暗な状態で登山を開始します。おかげでかなりイメージができました。
ちょっと雨が強いけど、普段着のまま散策へ。
駐車場へ戻る途中、大鳥居の下をくぐる。ニニギノミコトが天から降り立ったとされる、この国の「始まり」の山。その入り口で、僕は小さく頭を下げました。
「また来ます」
声に出すと、不思議と今回の天候に恵まれなかったアンラッキーさは残りませんでした。登れなかった一日が、ちゃんと次につながった気がしました。
「また来ます」
声に出すと、不思議と今回の天候に恵まれなかったアンラッキーさは残りませんでした。登れなかった一日が、ちゃんと次につながった気がしました。
また来ます!
二度寝して、山に行って、登らずに帰る。…悪くない一日だった気がします。
次回は、リベンジ登頂編をお届けできるよう、また湯を詰めて出かけますね。
次回は、リベンジ登頂編をお届けできるよう、また湯を詰めて出かけますね。
本当は登頂後に買う予定でしたが、今回は次回のために!
この記事へのコメント
ほな
温泉小屋のカギがいいです。情緒満点。
コーヒーブレイク
次回はお天気の神様が微笑みますように