寝台列車に乗って

  • 2026.03.10
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チャンスは突然やってきました。目的地は高松で、朝一番のミーティングから始まるお仕事です。前日入りをして地元の旨い酒を飲み、ホテルで就寝というのもいいけれど、「これは寝台列車のサンライズに乗るしかないでしょ!」というのが僕の解答でした。

出張当日、仕事を終わらせてから夜の東京駅へ。構内でビールとおつまみを買って、僕が行くべきホーム目指して歩みを進めます。伝言掲示板に「寝台特急サンライズ」と表記されているのを見ると、いつもの見慣れた行き先とは全く違い、僕の旅心を大きく揺さぶってくれます。
電車移動時にビールを買うのって久しぶりで、これだけで嬉しい!
いつもと違う表記の伝言掲示板にワクワク。
1ヶ月前に激戦の末入手した切符を握りしめてホームの後方に立って待つこと15分。とうとう寝台列車がホームに入ってきました。日本で寝台列車に乗るのは人生初!列車が目の前を通った瞬間は心の中で「ヤッホー!」と叫んでいた僕。その横では本当にヤッホー!と声を出す鉄道好きの旅人達。なんだか心の中でつぶやいた僕が恥ずかしい…。せっかく初めてのスタイルの旅(といっても出張の移動ですが…)なのだから、オッサンだからといって心の中だけで気持ちを高ぶらせるのはもったいないとちょっと反省しながら車内に乗り込みました。
「心の中で叫び喜ぶ」の写真。
掲示板がまわり、サンライズ高松の表記に変わったところ。
改めて「お〜!!」と今度は声を出しながら細い通路を進んで、まずはシャワーカードを入手しに行きます。毎回ほぼ満席のサンライズで使えるシャワーの水は限られていて、全員がシャワーを浴びられる量、時間はありません。そこで数に限りがあるシャワーカードを早めに購入する必要があるわけです。
シャワーカード。これだけでもコレクターズアイテム感がある!
シャワーカード購入後は、僕が予約したB寝台の場所へ。ガチャンと小さなレバーを回して、電車特有の重厚感と滑り感があるドアをスライドさせて開けます。窓側はボディの形に合わせてカーブしていて、高さは手を伸ばすと天井につく程度。面積はひとりがギリギリ寝られるスペース。そこにはエアコン、ゴミ箱、鏡、テーブルなど、質実剛健なつくりは、レトロフューチャー的な、宇宙船の船内のようなワクワクする空間がありました。
室内(入口側)。
室内(奥側)。
壁にある昭和感溢れるパネルのボタンやレバーをとりあえず全部いじってみて、「ふむふむ」と機能を理解しながらひとり満足感に浸ります。ベッド兼リビングに寝転がり、天井を眺めて一息ついていたら「プルルルルル〜」と、寝台列車の発車を伝える音が鳴り始めました。軽く車両が揺れたあと、ゆっくりとホームが後ろに流れていき、僕の列車の旅が始まりました。
押したくなる昭和レトロなスイッチ類。
ホームの人に、「俺、これから寝台列車で旅をします!」と自慢したくなる瞬間。
インドや中国で乗った寝台列車とはまったく違う空間。三段ベッドの一番上で横になったまま体をスライドしないと入れないとか、みんなが寝るまで自分のベッドはソファー代わりでなかなか横になれないゴミだらけのベッドとは違う快適な空間。日本の寝台列車っていいなあ。そんなことを噛みしめながら、袋から缶ビールとおつまみを取り出して、窓際のちょっとしたスペースに並べたら旅路に乾杯です。流れる夜景、そして時々止まるホームから見える人々の景色をおつまみに、ゆっくりビールをのどに流し込んでいると、都会と心の中に溜まっていた喧噪から少しずつ離れていっている気配を感じてきました。
窓辺に並べたちょっと贅沢なビール達(の一部)。
車窓を眺めてビールをチビチビ。
軽く飲んだ後は、足下に綺麗に整えられているパリッとのりづけされた、某コンビニの制服のようなストライプのパジャマにとりあえず着替えてみます。普段はビジネスホテル備え付けのパジャマなどは面倒であまり着ないのですが、今回はせっかくなので着用してみました。丈は短く、僕の身体には幅も狭くすぐにはだけてしまうパジャマ。鏡越しに見てちょっと恥ずかしかったのでパンツだけは履いてくつろぐことにしました。
パリッとした寝間着。着心地もまたパリッとしていました。
ひとり用の山岳テント、いわゆるソロテントのようで、この空間は僕にとってあまりにも心地良い。カプセルホテルも同じでは?と思うかもしれないですが、ハニカム構造の蜂の巣状のつくりではない、セミが地中にいるような、クマの冬眠のような、独立したこの空間が僕は好きみたいです。

このままだと、この空間の心地よさにいつのまにか夢の中!そして気付けば高松…となりかねないので、せっかくの寝台列車を楽しむためにシャワータイムを挟むことにしました。小気味よい車両の揺れに合わせて左右の壁に手を当てながら細い廊下を進み、シャワー室に入ります。カードを入れて、さっそく6分間のシャワータイムをささっと済ませ、スッキリしたらまた自分の寝室に戻ります。
シャワールームごあんないにまず目を通します。
シャワールームは「スタート」と「ストップ」をこまめに押すのがコツ!
同じストライプのパジャマを着た人達とすれ違いざまに会釈。板で隣と仕切られているシンプルなタイプの寝台で楽しそうに談笑と宴会を楽しむ人達と目が合ってお互い会釈をしたりと、同じ寝台を楽しんでいる同士を感じるのがこの列車の楽しさなんだろうなあ。

改めて自分の個室で飲み直し、本のページが進んで行くのを楽しみます。ゆっくり進む列車が静岡駅を通り過ぎ、しばらくページをすすめた後に布団の中に潜り込みました。
至福の読書とビールタイムを夜景と共に。
就寝してみると、このサイズ感の心地よさを改めて感じました。まさにソロテント!
セットした目覚ましよりも早めに目が覚めたので、スマホの目覚まし設定を解除。買っておいたコーヒーを飲みながらタバコの煙をプカプカ浮かべ、朝焼けから明るい世界に変わり、海に浮かぶ島々を眺め、頭の後ろの寝癖を触ってしばしボーッとしました。なんて充実した朝なんだろう!
朝焼けが気持ち良い朝。もうすぐ電車の旅は終わります。
車窓に映る島々。今、まさに四国インしようとしています。
まだボーッとしているけど、ひとまず着替えてコーヒータイム。
洗面をして、ひげを剃って、全ての準備をととのえたところで高松駅に到着。まだ肌寒いホームの上に立ったときの充実感は、飛行機や新幹線にはない充実感がある気がしました。走り去るサンライズに挨拶をしてから駅をでて、目に入ったうどん屋さんで朝食をとったところでこの旅は終了!充実した時間のおかげで気合いを入れて打ち合わせに挑めるスタートをすることができました。
「さぬきうどん駅」にやっと到着!
ありがとう!サンライズ!また乗らせてね。
まだ肌寒い朝には最高!な朝うどん。
さて、この旅感をこのまま終了させるのはもったいない!ということで、隙間を狙って高松をもう少し楽しもうかな。


この記事へのコメント


パラピー

ロードムービーですね。わくわくの感じが伝わってきます。
寝台列車は小学生の時に乗って、やっぱり良い思い出です。
また、乗りたいなぁー。

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