予期せぬ変更は島ランと酒に

ミーティングの時間変更依頼があったのは、羽田空港のラウンジでカフェオレを飲みながら朝一便の搭乗時間を待っている時でした。現地9:30スタートの予定が15:00とのこと。このタイミングで変更があっても、僕は8:30には福岡空港に到着してしまっている…。

そうとくれば、現地でできた時間を自分へのご褒美に変えるのが一番いい。…ということで、飛行機搭乗前に出張バッグの中にいつも潜ませているフィールドウェアとシューズに着替え、福岡空港へ。その足で能古島（のこのしま）フェリー乗り場へ直行しました。

能古島は、福岡市の博多湾に浮かぶ島で、フェリーでおよそ10分と近く、島の周囲はおよそ12kmと近くてコンパクト。小さな島には豊かな自然はもちろんのこと、文化や歴史もあり、限られた時間を有効活用するには最適な島旅の目的地です。

フェリー乗り場で出張用の荷物をコインロッカーに押し込んで、軽くて小さいバックパック（これもいつも忍ばせているのだ！）にボトル、おやつ、防寒着を詰め込んだら乗船チケットを購入。段々近づくフェリーにワクワクしながら乗船を待ちます。

船が離岸しはじめると、もう、旅気分。仕事で来ているのに今遊んでいるという背徳感と旅感の折り混じるこの感じは、なんとも表現しがたい特別感があります。「このまましばらく船に乗っていたい！」という思いが膨らむも、背後には博多の街、すぐ目の前には能古島という、超近距離のためあっという間に乗船時間が終わってしまいました。

中学校の団体や企業の方など思いの外たくさん上陸したため、賑わう船着き場を早々に離れることにしました。心地良いランニングスピードを探りながら島を走り始めます。右手に海を見ながら走り、あっという間に島の端に到着。この頃には身体が温まり、Ｔシャツ1枚で充分でした。すれ違った軽トラからは軽く叩いたクラクション音とともにサムズアップのサイン。こういうのは本当に嬉しい。

小さな島のストーリーを肌で感じながら、折り返しは森の中を散策しながら走ります。聞こえるのは僕が吐き出す呼吸の音と自然の音だけ。こうなるとある種のゾーンに入って、視界を流れていく木々を感じながら走るだけです。普段は走るのが嫌いでジムでもいやいや走るのですが、こういうランは心地良く、そして楽しい！

森の中は誰もいなくて貸し切り状態。まるで島の大自然をひとり占めしているようで、気分は大冒険です。東屋で休憩をとったら少し遠回りで船着き場へ戻り始めます。森を抜けて島の文化圏に入ると、観光スポットが目に入り始めます。展望台に登って景色を眺めてみたり、「鹿垣」と呼ばれる独特な石積みを横目に走っていくとあっという間にゴール。

汗だくの身体を海辺で少し冷ましたら船着き場にあって気になっていた地元コンビニ「NOCOMART」へ！…と思っていたけど賑わいすぎて入るのが大変そうだったので今回は断念。美味しそうなハンバーガーや快晴時の絶景は次回の楽しみにして島を後にしました。

汗を流して打ち合わせや下見の後、博多の夜を徘徊して一軒の小さな居酒屋へ。ギリギリ間に合った銀杏をつまみに福岡の地酒をゆっくり、そして少しずつ堪能してから帰路の飛行機に乗り込みました。空港と街の移動が楽な福岡は個人的に世界一便利な空港だと思っていて、その恩恵を受けるかのように、でも日帰りってもったいないな…。と思いながら帰路の飛行機に乗り込んだのでした。

心と身体が身軽だと、ちょっとした時間を無駄なく楽しめるって改めて体感。このフットワークを活かしてちょこっとアジアにでも飲みに行こうかな。