寝ぼけ眼でお湯を沸かし、茶葉をじっくり蒸らしながら濃いめの日本茶を淹れる。氷を詰めたっぷりと入れたボトルにゆっくりと注いだら出発準備完了。旅用のカバンにボトルを差し込んだら一路鹿児島へ。僕は「忙しい」という言葉のマジックにかかってしまったので、その呪縛を解くために1泊だけ旅に出ることにしました。
鹿児島空港を出てすぐに座っている西郷さんにご挨拶。いつも素通りしてしまう西郷さんにあえて立ち止まってみると、少し勇み足だった僕の時間の流れがゆるやかになった気がしました。おかげで灼熱の日々からいくぶん過ごしやすくなったのをちゃんと感じることができました。行列がなくなった頃にレンタカーで一路目的の宿へ。今回は観光も繁華街もお洒落スポットも一切無し。ただゆっくりと時間を過ごすのだ!
高速道路は一番左の車線をのんびりと運転。宿がある町に入ったあたりでうろうろ走っていたら、お腹がグ〜ッと大音量で主張しはじめます。スマホでお店を検索なんてことはせず(といっても町にはそんなにお店の数はない様子…)、自分の直感に従ってちゃんぽんと大きく記載されたお店ののれんをくぐります。
「いらっしゃいませ〜」活気のあるおばちゃんの声に、僕も思わず「こんにちは〜」と笑顔になってしまいます。店内を見回し好きな場所を選んで座り、今日は慌てずじっくり食べるものを選ぶべくメニューを開いて眺めていたら、とんでもないメニューが目にどんどん突き刺さってきました。2度見、3度見をしつつも「もうこれは行くしかない!」と、ヒレカツ、エビフライ、ササミチーズ、唐揚げ…の中から「とんかつちゃんぽん」というパワーネームを持つ商品をオーダーしました。見た目は破壊力抜群で、それでいてこの不思議な組み合わせはものすごく旨かったなあ。
「いらっしゃいませ〜」活気のあるおばちゃんの声に、僕も思わず「こんにちは〜」と笑顔になってしまいます。店内を見回し好きな場所を選んで座り、今日は慌てずじっくり食べるものを選ぶべくメニューを開いて眺めていたら、とんでもないメニューが目にどんどん突き刺さってきました。2度見、3度見をしつつも「もうこれは行くしかない!」と、ヒレカツ、エビフライ、ササミチーズ、唐揚げ…の中から「とんかつちゃんぽん」というパワーネームを持つ商品をオーダーしました。見た目は破壊力抜群で、それでいてこの不思議な組み合わせはものすごく旨かったなあ。
かなり遅めのビッグランチの消化スピードと同じくらいゆっくりと車のアクセルを踏む。右左折に合わせてかかる遠心力に合わせてお腹の中も大きく揺れる…お、重い。しばらく走って目的の宿にチェックイン。宿は「その火暮らし」という名前。その日暮らしと火なんて、なんともいえない素敵なサウンドの組み合わせだと思いませんか?
古民家の空き地に車を置いて、玄関に向かうとまずは焚火で炙られた「これから数時間後に美味しい色になるんだろうなあ」と思わせてくれるまだ色の薄い豚バラがぶら下がっているではありませんか!生唾を飲み込みながら玄関をくぐると、主人が仲間とリフォームした内部が、古民家感と現代風の上手な混ざり具合でどことなくレトロで、でも清潔感があって気持ちがいい。うん。久しぶりに「気持ちがいい」という言葉が自分の中でフィットする建物でした。
チェックインといっても店主と挨拶を交わし名前を伝える程度という簡単な手続きを終わらせて、2部屋しかない客室のひとつに入りました。見るからに気持ちよさそうな畳に座って窓の外の田園と山並みの風景を眺め、そしてそのまま大の字になって天井を眺める。この一連の流れは懐かしくもありとてもスムーズで、忘れずに身体に染みついていたのがなんだか嬉しかった。
“元押し入れ”だったスペースに腰を下ろし、本を開き読みはじめてみる。持ってきた本は、自宅の机上で高層ビルのように積まれていくだけだった本から適当に引き抜いた一冊。宿で開いてからどんな内容の本なのかを知った始末だけど、くじ引きのように引き当てた本を開き、ゆっくりと目を上下に動かすだけの時間を過ごしました。
“元押し入れ”だったスペースに腰を下ろし、本を開き読みはじめてみる。持ってきた本は、自宅の机上で高層ビルのように積まれていくだけだった本から適当に引き抜いた一冊。宿で開いてからどんな内容の本なのかを知った始末だけど、くじ引きのように引き当てた本を開き、ゆっくりと目を上下に動かすだけの時間を過ごしました。
読書で身体がカチコチに固まってきたところで、一度天井に手がつきそうなくらい身体を伸ばしてからパブリックスペースへ。普段あまり読まないスタイルの暮らし系の雑誌や本が並んでいたのでなんとなくパラパラといろんなものを流し読み。タイトルの流し読みの手が止まった雑誌を手にとって、艶やかな革のソファーでダラダラ読みふけります。
まだ夏の終わりで少し日は長いはずなのに、気付けばもう空は夕暮れのオレンジや赤色を過ぎていました。ダラダラと本の斜め読みをしながらリラックスしていると、チェックイン前に目撃したベーコンが飴色になってテーブルの前に置かれます。それをつまみにたくさん並んだ焼酎から気になったボトルを持ち出し、ロックでチビチビ飲み始めました。並んだ焼酎は飲み放題。こんな日の焼酎は大変美味しく、本のページをめくりながらゆっくりと色々な味を少しずつ楽しみました。
あくびをしながらタバコを吸いに外に出ると、もうすっかり夜のとばりが降りています。焼酎片手に縁側に座り、胡座をかく。そろそろ秋を感じる虫の鳴き声、雲の隙間から何度も顔を見せる月を楽しみながらダラ〜ッとする時間。時間といっても時計を見ずに、体内時計も心時計も使わずに過ごしているこの贅沢さは、蒸し暑さで垂れてくる汗さえも気持ちよく感じました。
翌朝は起きたい時間に起きたものの、前夜ぐっすり眠れたせいかまだ早朝の野鳥が鳴いていました。少し周辺を散策。実はこの町、仕事できたことがあるのだけれど、一度はゆっくり過ごしてみたいと思っていた場所。何度も来ているはずなのにほとんど初見の田園風景を歩き、以前お世話になったおじちゃんとバッタリお会いして雑談を楽しむ。別れ際に今年漬け込んだらっきょうをいただき、宿に戻って朝食を食べたらあっという間にチェックアウトの時間です。
先々月思いついた時間の過ごし方は、この、時間にとらわれない旅。僕のB面というか、あまりアクティブではない部分の僕のための時間。これ、少し病みつきになりそうです…が、だいぶ充電できたので、また前に進む作業に戻ろうと思うことができました。
この記事へのコメント
ポンちゃん
多忙な毎日から、ふらり一人旅で気分転換良いですね! 宿泊した宿が素晴らしいですね。
サーモン
美味しそう
マイコ
とんかつちゃんぽん気にはなりますね。
おじゃ
素敵なお宿ですね。 とんかつちゃんぽんは 美味しそうでした。
ガチャピン
素晴らしい佇まいの民家は沖縄県内にも数多く存在しています。景色も圧倒され、雰囲気も素晴らしく、癒しの島として親しまれています。鹿児島県も同様です。お薦めです。
かぐや姫
いいね
こんなふうにふらりと旅に出られたら
日常生活に絡めとられて身動きできない気分の私には羨ましい限り
でもご一緒に深呼吸させてもらいましたよ
ありがとう
スッチー
良いです。
コーヒーブレイク
素晴らしい佇まいの民家。空間も食も楽しまれたのが伝わります。
ぽんで
たまにこういう非日常の旅が人生において重要ですね
コレステロール
チャンポン!!
ほな
ぐるめツアーですね。とんかつちゃんぽんは初めて見ました。びっくり。
hirune
心身共にデトックスできそうですね