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ひとりの夜はテントの中で

  • 2020.11.12
  • 280
  • 3

長谷部 雅一



秋が深まってくると、センチメンタルな気持ちになりやすくなる…といいたいところだけど、僕の場合は単純にひとりの夜を過ごしたくなる。そんな気持ちになったらすぐに、仕事を前倒してやっつけ、夜のうちにお気に入りの道具を並べ、朝一番で自宅を出発する。
完全なる仕事だと時間がかかるのに、プライベート込みだとあっという間に必要な道具が床に並ぶ。
フィールドに到着すると、平日を狙ったおかげで周囲にほとんど人がいない。僕はすぐさま“おひとり様用”のキャンプサイトをシンプルかつコンパクトにつくってのんびり過ごしはじめました。
秋と冬の狭間のちょっとのんびり気味に感じる空を眺めては時々コーヒーをすすり、日常のスピードから自然の時間になったくらいになったら焚き火用の小枝を拾いに散歩に出かける。運動不足気味の体はちょっとの起伏でも息が少しゼエゼエいってくる…。
簡単な体を動かす作業を終わらせたあとは、トイレと水汲み以外はローチェアに腰をおろしたまま動かないと決め込む。ここからがソロタイムの本格始動だ。ソロキャンプのテントサイトは、言わば“四畳半ひと間生活”のようなもの。座った状態で全てに手が届き、動かずして生活できる規模感が心地良いのだ。
これからがまったく読めない忙しさから一転、この空を眺めていると抱える不安なんてどうでもいい気がしてくるから不思議だ。
焚火に火をつける時は、プリミティブに“ファイヤースターター”というマグネシウム棒を擦って火花をとばす方法で楽しむ。焚火がほどよく育ってきたら、料理を開始する。のんびり料理をしながら「カシュッ!」とプルタブを開けてビールを飲んでは時々薪をくべ、そして料理を続けつつ味見を繰り返す…。気付けばお腹いっぱいというのが僕の定番の時間の流れ方。
焚火自体を楽しむならやっぱりコレ。僕のプリミティブ焚火着火セット。
ファイヤースターターを擦るこの動作は、日常をワイルドに変えてくれる儀式みたいなもの。
焚火台の薪が小枝から太い薪に変わると、日常のライフラインが確保されていることと同様の安心感が湧いてくる。
焚火料理は焚火の上で完結させるのがポイント。火加減を見ながらダラダラ料理をする時間がこの上なく幸せだ。
お気に入りのナイフ。ちょっと奮発したけれど、僕の一生の相棒だ。(という言い訳を常に心の中で自分に言っている)
ひとりは自由なのだ!そんな気持ちがこみ上げた頃に空はオレンジから紺色に変わり、そして闇夜に変わり始める。暗くなる前に用意しておいたロウソクランタンの明かりで小さな範囲を照らし、ただただ夜の気配が深まっていくのを五感全体で味わい続ける。
ロウソクランタンは、静かだし、明るすぎないし、ソロの世界に浸るには最適な明かりなのだ。
空気が冷たくなり、焚火とアルコールのあたたかさが染み入ってくると、何もしていないのに、“何もしていないということ”に集中しはじめてくる。いわゆるソロキャンプの「ゾーン」に入ってきた感じだ。ここからは頭で何をするか考えなくても、眠たくなったら勝手にテントに潜り込んで寝て、そして寝ぼけ眼でコーヒーを入れて朝を楽しんでいるから不思議だ。
周りにほとんど誰もいないフィールドで一人の時間を楽しむ夜。これ以上の滞在型ソロタイムは僕は知らない。
深夜のおき火は僕がゾーンに入るスイッチかもしれない。
帰りの車の運転で、ジワジワと体に染み込んでくるリフレッシュ感。多少乱暴な車が目の前を通ってもイライラすることがないこの“凪”の自分に戻れたことが嬉しい。気付けば今年もあと2ヶ月。おかげで少しガンバって走れそうだ。
少し宣伝をさせてください!10月に小学館BE-PALから「はじめてのソロキャン完全ガイド」が発売されました!
今回、僕は撮り下ろしとアドバイザーとして一冊関わらせていただきました。よろしければ是非読んでみてください。もちろん、装備紹介には僕の相棒、山専ボトルも入っていますよ!!
よろしければ是非読んでください!


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長谷部 雅一 Masakazu Hasebe

アウトドアプロデューサー / ネイチャーインタープリター

1977年4月5日生まれ。埼玉県出身。有限会社ビーネイチャー取締役
2000年から2001年の世紀をまたぐ時期に丸一年をかけての世界一周の旅をする。

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この記事へのコメント

2020.11.16 13:00
場所はどこですか。
ほな
2020.11.13 14:19
焚火料理のおいしさが伝わります。
ほな
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