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第7話 欠点豆とは

  • 2016.05.30
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黒田 悟志



今回はコーヒー豆について、裏話とまでは言わないけれど、あまり知られていないことをひとつ。

突然ですが、「欠点豆」ってご存知ですか?聞いた事のない人が大半かと思います。意味はなんとなく想像付くかと思いますが、痛んでいたり、カビていたり、虫食い、割れ、未成熟、等など、そんな豆の総称です。

コーヒー豆は農産物ですから、条件によって多くの欠点豆も発生します。もちろん様々な方法で取り除かれますが、さすがに全部取り切れるものではなく、一般的には結構混入した状態で流通し、普通に飲まれています。

実はその欠点豆、「エグ味や雑味」の大きな要因のひとつなんです!前回の話で淹れ方によってエグ味や雑味が出る事に触れましたが、その大元が欠点豆なんですね。

当然混入は少ない方が良いに決まっています。昨今ブームになってきた「スペシャルティコーヒー」と呼ばれる世界では、良質な味わいを求めていく以上、その混入が極めて少ないです。むしろ入っていると減点対象です。

ただそれでもなお国や条件によって差はあり、また同じ豆なのにロットで変わることもあります。

そこでクオリティにこだわる焙煎所では必要に応じて「ハンドピック」という作業~豆を広げ、目視による手作業で取り除く~を行う所もあります。ちなみに僕もハンドピックを行っています。労力のいる作業ですが、それによって大変クリーンで味の個性も引き立つ、良質なコーヒーに辿り着くことが出来るからです。

美味しさを追い求める思いは、いつしか「欠点豆を一粒でも逃すまい!」という情熱へと変わり、僕は熱心にハンドピックしまくりました。

でも、ある日ふと思ったんです。
「お前は欠点豆」と宣言されたその豆は、いったいどんな気持ちだろう、と(笑)
(ハイ、ヤバいですねー、擬人化きてますねー)

考えてみれば、豆だって好きこのんで欠点を持った訳じゃないです。熱帯の広大な農園で、美味しいコーヒーになろうと思って完熟したつもりなんです!でも突然虫の襲撃に遭ったり、製造過程で機械に挟まって欠けちゃったり、そんな不遇の人生(人かっ?)だっただけなんです!!(涙)

いや、たしかにカビていたり虫食いだったりは身体に良くない所がありそうですし、それは取り除きます。でも「標準」と考える形から外れたモノを「欠点」と呼び、ただ排除していくだけで本当に良いのだろうか?

ある価値や基準で絶対評価をしていく世界観は、物事がレベルアップしていく上で無くてなはらないし、世の中が進んでいくのに必要なものです。でも欠点とされた豆にはゴミ箱行きの人生(だから人かっ?)だけなのだろうか。そもそも人間の味覚は一筋縄ではいかない、想像を超えた懐の深さがあるはず。事実、納豆は?ブルーチーズは?イナゴ食べた事ある?(笑)

「欠点とは、ハンディキャップと評された個性」のことでしかない。そう思った僕はハンドピックの在り方に考えを巡らせました。そしてひとまずその日から欠点豆を捨てずに保存し始めたのです。

でも、さて、いったいどうしたものか、、、。うーん、答えのない歩みが続きます。

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黒田 悟志 Satoshi Kuroda

Day Drip Company 代表

スペシャルティコーヒーと呼ばれる良質なコーヒーの世界。その魅力を伝える為に、勤めていた自家焙煎店から独立し、独自のブランド【Day Drip Coffee】を立ち上げました。

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