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第37話 コーヒーと共に~続・島人

  • 2017.07.24
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黒田 悟志



コーヒー豆はコーヒーベルトと呼ばれるエリアで収穫されます。これは赤道を中心に緯度25度くらいの範囲で、南北回帰線とほぼ同じです。石垣島は北回帰線の少し上にあるので、栽培エリアとしては北限ギリギリです。
そんな石垣島の星野という場所で、長きに渡りコーヒーの栽培と「人魚の里」という喫茶店を営んでいるご夫婦がいます。実は以前からそのお店は知っていましたが、たまたま休みだったりして縁がありませんでした。でも友人ヨッシーが直接の知り合いだと分かり、今回紹介してくれることになりました。

お店に入ると、気の良さそうな年配のご夫婦が迎えてくれました。早速コーヒーを注文。奥さんがハンドドリップで淹れてくれたコーヒーは、少し深煎りだけど、クリアですっきりした印象。美味しく頂きながら、ご主人にコーヒー農園を始めるに至った経緯や、栽培の工夫、品種、収穫までのご苦労など、なかなか聞けないお話を伺いました。

人魚の里という店名は、この辺りに伝わる伝説に由来

コーヒーの木。色付いたら収穫。
普通コーヒー豆は標高の高い山あいで栽培され、台風が来るような場所ではありません。でも石垣島ではあまり標高が稼げず、台風も考えられないような破壊力で襲ってきます。そんな場所でどうやって??思わず栽培に関してどこで学んだのか伺ったら、なんと「全て独学」との事。えっ!独学!?衝撃的です。収穫に関わる機具も自作、使っている焙煎機さえ自作だとか…。さらに強烈なのは、全て無農薬栽培とのこと!

僕は、一連のお話にしばし言葉を失いました。ご主人は一言でいうと「常識を突破した」人でした。とても穏やかで優しそうな感じですが、どんなに上手くいかなくて「皆からバカにされ(本人談)」散々な目にあっても、出来ると信じて出来るまでやり続けた、強―い意志の持ち主でした。

苗木が倒れないように柱で支えています。

農園のご夫婦と。オジイのピースが間に合わず。
コーヒーを飲み終えた僕らは、店を後にすると、次にその日一番の目的である、ルミ姉のお見舞いへと向かいました。病院のベッドの上で、ルミ姉は静かに、でもしっかりと僕らを迎えてくれました。症状と処置の都合でコーヒーを飲んでもらう事は難しいだろうと考えていた僕は、せめて香りのお土産を渡したいと思い、焙煎したての珈琲豆とコーヒーミルを持ってきていました。彼女の目の前で豆を挽き始めると、芳ばしい香りがみるみる病室に拡がっていきます。ひとしきり挽いたら、粉を彼女の鼻先へと近づけました。

「いい香りだねぇ。」彼女は静かに呟きました。こんな時励ます言葉が上手く見つからない自分に、なにか腹立たしいような悔しいような気持ちを抱えつつ、僕はアレコレと語りかけました。ヨッシーは面会時間いっぱいまで残るとの事だったので、しばらくして再会を約束しつつ、病室を後にしました。外に出ると、梅雨時の石垣島らしい薄曇りの空が、やけに広々と、そして眩しく感じました。

実際に持って行ったミル。また一つ想い出が。

ずっとこんな空模様でした。
ホテルに戻るレンタカーの中で、僕は無言に耐えきれず、奥さんに一言二言話したのだけど、何を話したか憶えていません。ただ、人はいつか、何処かで、何かの覚悟を決めて、その人それぞれの道を、ひたすらに歩むものなのだな、と、そんな事を考えていた気がします。

帰京する日。那覇空港での乗り継ぎ時間をあえて5時間ほど取り、本島の友人に会ったり、ビーチに立ち寄ったりしました。空港近くのビーチを訪れた時、なぜか急にそれまでの曇天がウソのように晴れ上がり、最後の最後に沖縄らしいひとときを過ごせました。
どうかあの人にもこの人にも、素晴らしい青空が拡がりますように!

これ最高です!!マジで実に良い!

最後にご褒美の様な青空が!本島にて。


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黒田 悟志 Satoshi Kuroda

Day Drip Company 代表

スペシャルティコーヒーと呼ばれる良質なコーヒーの世界。その魅力を伝える為に、勤めていた自家焙煎店から独立し、独自のブランド【Day Drip Coffee】を立ち上げました。

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この記事へのコメント

2017.08.15 17:44
コーヒーのあの香りって何かで代替できない唯一の香りですね。
ライスマン
2017.07.24 15:25
何でも会います。
ほな
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