夜明け直前の薄明るい時間。この日は運転開始時からもう気分が良かった。この日は夏前なのに完璧な夏ライクな空で、最高気温は30度。車を駐車させて身体を上に伸ばしながら深呼吸をしたら、僕の肺の中には初夏めいた緑とみずみずしい空気がたくさん取り込まれたような気がしました。
今回の目的は、自分の沢登り技術の向上。登山ガイドの免許更新研修に参加するために山梨県の奥まで車を走らせました。コーヒーを口に含んで一服したら、まずは荷室を開けて入るフィールドや天候をイメージしながら装備を整えます。ここでの装備選択ミスは本番で命取りになることもあるため、真剣に装備の選定を行います。
前日の雨で少し水量が多い沢にガイド仲間と入水開始。その水の冷たさに「ギュワッ」という変な声と同時に体中がギュッと引き締まります。先輩ガイドのアドバイスを自分の経験に上書きしながら沢を進みます。今年初の入水なので、頭も身体もまだまだ硬い…。コースを真剣に探し、生まれたての子鹿のようなガクガクした足取りで慎重に沢を上流に向かって進みます。
水が流れる急斜面を登るときは、足裏全体で地面を感じながら進みます。沢登り専用の靴はスニーカーや登山靴とはまったく違う構造で、足裏のソールが濡れた岩や苔でも滑りにくいフェルトが張ってあります。…そうはいっても「もしも」を考えると若干変な汗が頬を伝ってきます。沢をどんどん上流へ進み、身体がだいぶ冷えてきたところでやっとランチタイムになりました。
バックパックの中で少し潰れたおにぎりと菓子パン。そして冷えた身体をやる気と力で満たしてくれるホットココア。これが僕のランチです。いつもなら物足りないランチだけど、優しい空気感になった自然がランチの満足度を大幅に上げてくれます。先ほどまでは僕に牙を剥いていたように感じた沢ですが、バックパックを降ろして太陽に温められたゴロゴロ石の上に腰を下ろした瞬間にその表情は変わりました。なんとなくですが川の音は優しくなり、耳には野鳥の声がたくさん入ってきます。そして温かい日差しは、真剣勝負をしているときにはまったく気付かない、優しさ溢れる自然を味わえました。
練習が終わった後はもうヘトヘト…。駐車場に戻り、車の中に道具や脱いだ服を投げ込んだら本日の宿に移動です。宿はいわゆる「ザ・民宿」で、僕のイメージ的には文豪がこもって原稿を書いているような、そして昭和のドラマでちょっとした事件が起きそうな、そういったノスタルジーを感じる宿でした。
僕はこういう宿が大好きです。いや、もう大好物です。仕事の出張はビジネスホテルが多く、ただ仕事をしてベッドに潜り込むだけということが多い。それが民宿となると、PCを広げてもまさに文豪気分で作業に入れるし、夕食、朝食も手作り感があり、そして土地の食材が心と身体を満たしてくれるような気がします。あぐらをかいて座り、目の前の美味しい物を食べて「もう何もお腹に入りません!」という至福の時間を夜と朝2回も味わうことができました。
翌日も朝から沢に挑みます。沢筋を頂上まで登り尾根沿いに到達したら、地形図で登山道がついていない場所をコンパス(方位磁石)と地形図を駆使して進み、最後は崖を数回に分けて垂直に降りてゴール…。というアドベンチャーな一日になりました。アウトプットが多い日常のなかで、こうやって仲間達と学び合いの場が持てたのは非常にありがたかったですし、そしてなによりも夏本番前に沢で完全リフレッシュすることができました。
そして、今回の1泊2日を経て、次のミニトリップのテーマ設定までできちゃいました。こちらはうまく実現できたら次回みなさんに共有させていただきますね。
この記事へのコメント
バジル
自然の驚異に感嘆
mame
凄く素敵
一緒に行く人と体力があれば行ってみたい笑
ゆーだいすきかあさん
自然の素晴らしさと それを楽しませてもらうには
準備が欠かせないこと 再認識です
それにしても ステキな民宿ですね~~
作り手の愛情が伝わってきました
画像も文章も ぐっ ときました!!
WAKAKI19
旅館飯いいですね~
だあきち
楽しそう!
緑と水が涼しそうですね
はる326
素人には厳しそうですね。
がっちゃん
沢登り気持ちよさそう
ほな
丹沢?
おこめ
楽しそうですね
アイリーン
楽しそう!旅館飯おいしそーー!
かぐや姫
しっかりバーチャル旅気分ができましたよ
ありがとう〜
ぽんで
昭和の民宿、趣がありますね。
コーヒーブレイク
お花のお赤飯が素敵!
コレステロール
西沢渓谷?
ほな
ここどこ?
hirune
大自然に感謝ですね
スッチー
良いです。