第81話 ナイスカットか、みるっこか

  • 2019.06.10
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例えばコーヒーを淹れる時、豆を挽くのには手動式ミルが一般的ですよね。でもコーヒーにハマると気になりだすのが、電動式ミル。それもカフェにあるようなタイプは、とても気になります!実はコーヒーの味わいは、ミルの基本性能の差によってビックリするほど変わるもの。カフェにあるタイプのものは二枚の歯を擦り合わせて挽く臼の様な構造で、挽き目が均一になり味わいがしっかりと表現される、つまり美味しく淹れることが出来ます。だからこのタイプは多くの方にオススメしたいのですが…ひとつ困ったことがあります。
電動ミル界のツートップ。奥のみるっこの方がやや大きい。
一般向けの電動ミルには、最高峰といわれているコーヒーミルが二つ存在するのです。一つは「ナイスカットG」、もう一つが「みるっこ」。購入検討の際に必ず比較対象となり、多くの人が悩むネタです。これが以前からくすぶり続けているマニアックな論争「ナイスカットvsみるっこ」問題です。
ナイスカットGは三つ穴ドリッパーで有名なカリタ製。電動ミルの名機と謳われたナイスカットミルの後継機で、小さなカフェでも充分対応出来る性能を備えています。みるっこは業務用焙煎機メーカー富士珈機が作った家庭用ミルで、敢えてメーカーが“業務用にも使えます”と言い切るほど堅牢な作りです。ちなみにカリタは神奈川、富士珈機は大阪の会社なので、相撲じゃないけれど東西対決でもあります。
ナイスカットG。スイッチが後方にある。旧モデルとほぼ同じだが、質感は向上。
みるっこ。重量級の安定感は圧倒的。在る意味、ネーミングセンスも圧倒的。
両者最大の違いは、歯のタイプ、回転速度、重さです。数字でいうと、
ナイスカットG / 消費電力120w 挽き能力100g/分 重量2.3kg
みるっこ    / 消費電力130w 挽き能力250g/分 重量5.0kg
ナイスカットGは切り刻むように挽くカット歯というタイプ。歯の回転速度はゆっくりで、摩擦熱を抑え豆にダメージを与えない設計です。みるっこはすり潰すように挽く臼歯タイプ。直径が大きく重たい歯ですが、パワーのあるモーターで高速回転させ、短時間で一気に挽き終える設計です。コーヒー豆を挽くだけなのに、面白いくらい考え方が真逆ですね!
回転歯比較。左みるっこ、右ナイスカットG。みるっこの歯は圧倒的に重い。
ナイスカットの歯は切る気マンマンのデザイン。
みるっこの歯はトンネル工事の掘削機、シールドマシン似だと思う。
ナイスカットGの低回転のカギは、ギアを介して速度を落としているところです。トルクが稼げるようになるので、その分小さいモーターでもいけます。速度が下がると動作音も低減されるのですが…実際はギアの作りや軽いボディの影響なのか「ガーリガリガリガリッ!」と少し騒々しい音がします。そんな質感の印象は作りにも現れている所があり、例えば塗装は少しヤワな感じかも…。
みるっこは大きなモーターや重い躯体のせいか「ウィーンンズゴゴゴゴゴッ!」と低く唸る動作音で、比較的静かです。豆の投入口にはスライドするフタ(ダンパーという仕掛け)が付いていて、モーターに負荷が掛らないようにする為、ONにしてから豆を落とす使い方です。ところがこのダンパーが曲者で、フタをスライドさせても僅かに開ききらないため、そのスペースに豆が一粒だけ、落ち切らずに上手い事?乗っかってしまうのです。ちょっと工夫すれば解消出来そうなのですが。
粉サンプル。ほぼ一緒。左みるっこ・目盛5.5、右ナイスカットG・目盛3.5。
受缶セット時。左のみるっこの受缶は付属品ではなく別物。とても便利。
挽き目の精度については、正直に言って甲乙付け難いです。ただ粗挽き方向へ向かうに従い、みるっこの方が精度が高い気がします。また極めて個人的な印象ですが、みるっこの方が柔らかく味わい深い仕上がりになる感じもします。これは歯の方式の違いが粒の表面の違い=断面の細胞組織の潰れ方の違い、として現れているのかもしれません。
付属品はナイスカットGに付いているブラシとステンレス受缶(粉受けカップ)がとても良いです。みるっこの受缶は樹脂製で、静電気による付着がひどくて使いにくいため、適度なサイズの金属製受缶を見つけて愛用しています。
こいつを肴にビールジョッキ3杯はいけます(笑)
…ここまで一息に語りましたが、参考になったでしょうか?書きたいことはもっとあるのですが、誌面の都合で今回はこのくらいに。続きはセミナーや店頭にて、実物の電動ミルでも見ながらお話し出来たら最高ですね!(笑)


この記事へのコメント

ほな

ミルでコーヒーが決まる、納得。

ほな

電動ミルをうまく使いたい。

ほな

ミルも東西対決。日本も2つに分けて道州制を採用すれば、格差はなくなる。

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